こんにちは、若輩者です。

 

前回お話した通り、私はとある雪山のとある寮に住んでいる。

 

ただその寮は建物の一部にあり、建物自体は寮だけが入っているわけではない。施設の

 

正面は広々としたスキー場に面しており、私の部屋のベランダからもその景色が一望で

 

きる。そしてその正面の外部に鉄製の階段が設けられており、それを上がって木製の扉

 

を開ければ、2階のブリュワリー兼レストランに入ることができる。そして、その飲食

 

店の真上に私の住む寮があるというわけだ。因みにこの施設にはお店につながる入り口

 

とは別に3階の寮につながる勝手口もある。玄関は2重扉でこれまた実家にはない雪国

 

特有の生活様式である。そんな扉をくぐると、重厚感のある扉が1枚ある。外の冷気目

 

線でいえば、寮の中に入るなど至難の業である。まず玄関の二重扉によって遮られた上

 

に、厚い1枚扉が立ちはだかる。雪国に住む人々がいかに寒さから身を守るために工夫

 

を凝らしているかがこういった部分にも垣間見える。そうしてその扉もくぐっていくと

 

階段が見える。段々を2セット上がると横並びに部屋が見え始める、といっても寮は3

 

階部分だけだから部屋数は限られており、およそ7部屋。人数によっては相部屋の可能

 

性も十分にある。そして上がりきると正面にはフロアの説明書きが額縁に飾られてお

 

り、見るにいかにもハンドメイド感満載である。その額縁を中間地点に左折すれば突き

 

当りに共用のキッチンがあり、右折しさらに途中右折すれば洗面所がある。キッチンや

 

洗面台は何の変哲もないものだったが、トイレはにおいが変哲である。トイレ特有の臭

 

さと書くと皆公衆トイレのような大便・小便のにおいだと想像するだろう。だがそうい

 

う臭さではなく、酸味のきいた嘔吐物が干からびた時の匂いである。息をしただけで気

 

持ち悪くなるため、用を足す際はお店のトイレを利用することにしている。そんな洗面

 

所を後にし、ようやく洗面所目前の自身の寮部屋にたどり着く。

 

部屋を入るとまずは「踏込」が、続いてふすまを開けると「主室」にたどり着く。主室

 

自体は8畳ほどの広さで押入れ付きだ。そして奥には縁側のような空間がおよそ4畳ほ

 

どありベランダにつながる。さらに暖房設備が3台と敷布団・掛け布団・毛布・枕が5

 

セットに机や椅子、ハンガーや物干し竿もある(ますます相部屋率が濃厚ではあるが、

 

それは良しとしよう)。さらに、畳・壁紙・柱・襖・扉・障子など全てが茶と白の2色

 

で埋め尽くされるという殺風景さを払拭するためなのか、壁1面だけを何本もの樹木と

 

差し込む陽気がコントラストを奏でた「青々しい自然」のクロスが覆っている。私は自

 

然にものすごく心地よさを覚えているため、この景色を毎日横目に見られるだけでとて

 

も満足している。ここまで聞けば、「寮にしては豪華だ」と思うだろう。しかしそれで

 

は終わらない。この部屋の最大の弱点は「十分でない障子」である。障子は基本的に4

 

枚あれば大抵の部屋では冷気を防ぐことができよう。しかしこの部屋は1枚足りず、つ

 

いでに言えば他の3枚も継接ぎが目立つ。そのため暖房を入れなければもろに冷気が入

 

り、入れたとしても温度は中和され居心地の良い暖かさは感じられない、といった欠点

 

もある。だが、寮部屋に完璧を求めてはいけないことくらいはこれまでの経験上理解で

 

きるし、これは人間の性格と同様の話でもある。完璧な人間など居らず、皆何かしらの

 

短所を抱えている。そして時にその短所は長所になりうることもあるのだ。今回の場

 

合、火事防止のため寝る前に必ず暖房を切るようにしている。そのため朝がものすごく

 

つらい。だがその寒さが目覚ましに丁度良いと、これは傍から見れば短所だが私にとっ

 

ては長所なのだと無理矢理にでも押し込めながら長文を綴る今日この頃。

 

気温はまもなく10度を下回ります。

 

(私が雪山のとある寮に住み始めた訳とその経緯は割愛させてもらう。というかこのブ

 

ログを見ていけば分かるからである。)

こんにちは、若輩者です。

石油ストーブ

 

私は、今自身のパソコンと相対し文面をつづっている。と、身震いした。そういえば朝

 

から暖房設備を何もつけていない。私はヒーターの電源ボタンに手を伸ばし、ポチッと

 

押した。だが反応がない。コンセントは刺さっている状態且つオイルも満タンで、何

 

の欠陥もないはずなのに動かない。温度設定をしていないからかとメーターのボタンを

 

操作しようとしたその時、「ボッ」と火が付く音がした。そう、これは石油ストーブ。

 

このボタンを押してから作動するまでのタイムラグは今の時代ではなかなかないことか

 

もしれない。実家の暖房設備はボタンを押せば作動し、人感センサーで温度や風向きを

 

設定しタイマーなんかも自由自在。だからこそ私は躊躇したのだ。今ヒーターをつけて

 

から20分が経過する。が、部屋は全く暖かくならず「寒い」と「暖かい」が打ち解け

 

あって中和されている?いや、正直に言うと寒さが勝っている。それもそうだ。部屋が

 

満遍なく暖かくなるように部屋の角にストーブを配置したが、十分でない障子の隙間か

 

らベランダを通して伝わる冷たい外気が対角線上に私の目の前で熱気と押し合いへし合

 

いしている。こんな状況は実家ではありえず、この旧式がそろった環境が「時代の流行

 

に乗らない」という幸せを齎してくれている。

 

そう、私は実家から何百キロと離れた雪山のとある寮に住んでいる。